(’74)
マジカル・パワー・マコ、日本人である。伊豆の山奥で生まれ育ち、200種類以上の楽器を操ってアルバムを創る宅録の帝王。現在も活動中。この作品はマコ19歳の時のデビューアルバムで、74年に発表された。ひとりの神童の記録である。
聴いてみれば良くわかるのだが、とにかく無邪気にアイディアを詰め込んである。これは19歳の少年にしかできないワザ。アイディア過剰で聴き苦しく感じないのは変幻自在の構成力のゆえんだろう。古今東西の素材を取り入れる貪欲さと、そのイマジネーションの拡がりはその年齢の若さを信じ難くさせるものがある。いや、これもやはり19歳の少年にしかできないワザなのかもしれない。
猫の鳴き声やバリ島のケチャ、津軽民謡、プログレ、フォーク、祭りの実況録音など、マコが興味を持った対象はすべて音となる。最高の“オモチャ箱”だ。Aの罵声やF、Kのボーカルではあの灰野敬二が参加、2人の鬼才の出会いの記録。Dの場末の売れないジャズ・シンガーのようなボーカルも面白い。Gで歌うのはマコの妻らしく、ヘタクソだがシンプルなメロディが美しい。Kの終盤にかけての音宇宙の拡がりは曼荼羅のような“無限世界”を想起させる。そういえば、マコの音楽のテーマは“宇宙との交信”であるらしい。現在もチャネリングやネットでの音楽を試みる実験精神あふれるアーティストである。
インパクトという点で本作は必聴であるが、2作目『スーパー・レコード』や、3作目の『ジャンプ』も同じくマコの小宇宙炸裂の名盤なので、入手困難ではあるがぜひとも聴いて欲しい。